Wasatch Photonics社 VPHG Q&A


Wasatch Photonics Trasmitting VPHG Q&A

■ FAQ


Q1. Wasatch Photonics社は、どのようなタイプの回折格子(グレーティング)を製造していますか?
A1. ガラスの中に密封されたニクロム酸ゼラチン(DCG)の内に、二光束干渉で記録された、ボリューム・フェーズ・ホログラフィック・グレーティング(VPHG)を作製しています。多くの光学記録メディアがありますが、DCGはとても低い偏光依存損失(PDL)、とても高い効率、広いバンド幅をつくり出すために必要な組み合わせの特徴を持っています。
これらの特徴は、通信分野あるいはその他の分野の企業の、自社技術を活用した製品作りに生かされます。

Q2. ボリューム・フェーズ・ホログラフィック・グレーティング(VPHG)の技術は、表面レリーフ型グレーティングの技術と、どのように異なりますか?
A2. VPHGは、周期的な、典型的には正弦曲線の屈折率変化を有し、厚みは一定です。
一方で、表面レリーフ型グレーティングは、屈折率一定で、厚みに周期的な変化があります。
ほとんどのVPHGは透過型で作製される一方、ほとんどの表面レリーフ型グレーティングは反射型で作製されます。
マスターVPHGは、通常>900 lpmmの空間周波数で作製されます。
これらのマスターVPHGは、光学的に複製することができますが、その際、マスターと複製のどちらも、経時劣化を起こしません。
表面レリーフ型グレーティングのマスターは機械的に複製されるので、マスターと複製の双方とも、複製の回数が増えるにつれて、経時的にに質が落ちていきます。


Q3. VPHGの他の特性には何がありますか?
A3. VPHGは、可視光と赤外線において、低迷光、低吸収です。そして、ガラスに密封されているため、長寿命、取り扱いやすさ、引っかき傷への耐性、掃除のしやすさを特性としています。VPHGは通常、フレネル反射と全体的な出力の増加を最小限に抑えるために、片面もしくは両面に、ARコーティングが施されています。

Q4. VPHGは、どのようにクリーニングしますか?
A4. VPHGは、ARコーティングが施されているかどうかに関わらず、他のガラスの光学製品と同様に、指紋、塵、汚れを簡単にクリーニングできます。標準的な光学のクリーニング方法の「ドロップ・アンド・ドラッグ」を行います。
グレーティングを、アセトンもしくはアルコールを使用し、清潔で糸くずの出ない布で、強く押さずに、優しく拭いて下さい。(試薬グレードメタノールもしくはウィンデックスもまた、使用することができます。)
MEK、つや出しコンパウンド等は使用しないで下さい。そのような化学的もしくはつや出しのコンパウンドで強くこすりますと、ARコーティングにダメージを与えます。
ARコーティングをされた表面は、「スコッチテープ」テストを通るでしょう。

Q5. Wasatch Photonics社のゼラチン記録媒体について、どのような情報がありますか?それは経時的に安定していますか?
A5. 私たちのゼラチン記録媒体は、100年以上写真撮影業で使用されているゼラチンに、とてもよく似ています。
ご存じかもしれませんが、正確な手順を踏んだ写真はとても安定しており、長年の間、その特性を保持するでしょう。
この、写真の非常に優れた安定性の主な理由は、ゼラチン基盤の安定性です。
とても古い白黒写真の変色は、紙の基盤からの定着液の除去が不十分であることが原因であり、その結果として、紙が黄色くなります。
ゼラチンでしたら、何もする必要がありません。

Wasatch Photonics社は、記録媒体として、重クロム酸ゼラチン(DCG)の混合物を選び、使用しています。
一度この混合物が現像され、クロムが除去されると、それは基本的には純粋なゼラチンとなり、とても安定します。
過去30年間、適切に密封されたゼラチン・グレーティングの劣化は測定されていません。
DCGホログラフィック・スキャニング・ディスクは、いくつかの早期の光学バーコードスキャナーに使用されており、それらは今でも20年前と同じように正確に動作しています。

Q6. ディクソン・グレーティングとは何ですか?また、どのようなところが他のグレーティングと異なりますか?
A6. ディクソン・グレーティングは、高度に特殊化したボリューム・フェーズ透過グレーティングです。それは、90°以上の角度と40nm以上のバンド幅を含む両方の直角の線の偏光を、等しく高効率で回折することができます。
このような高回折角で使用されるために設計された他のグレーティングでは、PDLが大きくなり、回折効率も低く、40nmバンド幅では回折効率のばらつきが大きくなるでしょう。
40nmバンド幅と好ましい高分散角は、95%近い効率と組み合わさり、ディクソン・グレーティングを、Mux、Demux、Remux、OSA、モニター、フィルター、ラマン分光法のような遠距離通信アプリケーションにおいて大いに価値のあるものにします。
そのグレーティングの名前は、グレーティング設計者とWasatch Photonics社の副創設者、リー=ディクソンにちなんでいます。

Q7. ディクソン・グレーティングには、どのような特徴・性能が期待できますか?
A7. ディクソン・グレーティングは、ほとんどどのスペクトル幅でも、簡単に設計することができます。
例えば、1525-1565nm用に設計された、940 lpmmのディクソン・グレーティングは、次のような特徴・高性能をもっています。

・高分散
・極めて高い効率(>90%)
・極めて低いPDL(<0.25dB)
・C、S、Lバンド上の平坦な応答

Q8. 異なる分散角のグレーティングを作製することはできますか?
A8. VPHGは、ほとんどどの角度でも作製可能です。
ディクソン・グレーティングは、よい特性を保つために、狭い角度範囲に制限されます。
実際可能なディクソン・グレーティングは2タイプあり、1つは、空気中で46.5°の半角のあたりで動作します。もう一つは、平坦な基板から逃れるには、高すぎる内部角度で動作しますので、プリズムとともに使われる必要があります。
この後者の設計はディクソン・グリズムと呼ばれ、パスあたりの分散がディクソン・グレーティングの2倍近くとなります。
2005年1月、私たちは、940 lpmmのディクソン・グレーティングの2倍以上の分散の、1525-1560nm用ディクソン1350という最新の高い分散の製品をお届けしました。

Q9. Wasatch Photonics社のグレーティングは、どの波長で動作しますか?
A9. あなたが選択するガラス基板とプリズムに基づき、1つの記録材料で、350-2400nm(すべての可視光と赤外線)をカバーします。

Q10. どのくらいのサイズが作製可能ですか?
A10. 完全に密封された、典型的な高耐久化されたサイズは、おおよそ20mmx30mmから作製可能です。
より小さいサイズのものは、外部から密封しなければなりません。Wasatch Photonics社のチームでは、400mmx400mmほどの大きいグレーティングを作製したこともあります。

Q11. どの程度の波面均一性とゆがみが予想されますか?
A11. 1/4波長が典型的です。ディクソングレーティングでは、波面均一性の波面のエラーはとても低いです。

Q12. Wasatch Photonics社のグレーティングには、どのような環境テストが行われますか?
A12. Wasatch Photinics社の電気通信グレード、エポキシ密封のグレーティングは、沸騰している湯の中で、劣化することなく何日か耐えることができます。また、湿度が飽和状態の950℃の環境で、2週間以上耐えることができます。
グレーティングの構造の崩壊は、1200℃の環境で数日間ののちに観測されています。
Wasatch Photonics社の、非ディクソン設計の、類似のいくつかのグレーティングは、現在、商業上の合波器の中にあり、標準的な適合性テストに合格するだけではなく、現実の世界でのテストを生き抜いています。
DCGは、BK-7、Borofloat、低アイアンシートガラス、溶融シリカのような様々な基板の間に密封され、極端な高温以外、いかなるものにも影響されません。

Q13. 温度と照準の特性は、どのようなものですか?
A13. 経時的な照準安定性と温度は、使用される基板に完全に依存します。
ほとんどゼロに近いドリフトは、溶融シリカのような膨張の低温係数(TCE)の基盤を用いることで得られます。


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