
Yb:YAG結晶
Yb3+ドープの結晶は、コンパクトで効率的なLD励起レーザ装置用に多大な潜在能力をこれまで示してきました。
Yb3+イオンには、マニホールドが2つだけあります。
その2つとは接地2F7/2と励起2F5/2で、約10,000cm-1ずつ離れています。
これにより、Yb3+ドープの結晶は、高出力1μmレーザに非常に有効な分光特性やレーザ特性を持ちます。
特に、Yb3+ドープの結晶は濃度消光、アップコンバージョン、励起状態での吸収が起きないという特性があります。
また、Yb3+イオンは、長いエネルギー保存期間を有します。
(同じホスト結晶へのNd3+ドープ品の3倍から4倍です。)
量子欠陥も大変少ないので、レーザ発振中の熱発生を抑制する効果も持ちます。
特にホスト結晶がYAGですと、Yb3+イオンのエネルギー保存期間は950μsになります。
量子欠陥はわずか8.6%になります。
Yb:YAGはまた、波長940nmにおいて広い励起ラインを持ちます。
これは、Nd:YAGの808nm励起ラインの10倍の広さです。
これにより、レーザシステムにおいてLD励起波長の熱ドリフトの影響の抑制効果をもたらします。
940nmでの長い蛍光寿命のInGaAS半導体レーザの開発と共に、これらの物質特性は、Yb:YAGをLD励起高出力レーザ媒質の
有力候補へと導きました。
Scientific Materials Corp.(SMC)社のU. P. グレードYb:YAGは、同社特有の、業界で最も厳しい品質管理の元に製作されています。
U. P. グレードYb:YAGは、高い効率、ダメージ閾値などの優れた動作特性をもたらします。
SMC社U. P. グレードのYb:YAGを媒質としたレーザシステムで、数kWレベルのレーザ出力が測定された事が正式に報告されています(※)。
SMC社での標準Yb濃度は、0.2%,、0.5%、 1.0%、 5.0%、 10%、 15%、 25%、 50%、 100%です。
(※)文献:D. S. Sumida, A. A. Betin, H. Bruesselback, R. Byren, S. Mathews, R. Reeder, and M. S. Mantgir, "Diode Pumped Yb:YAG caches up
with Nd:YAG," Laser Focus World 35, 63-70(1999).
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